blog-back

わしお耳鼻咽喉科 ~発熱検査外来情報~





わしお耳鼻咽喉科は発熱等診療・検査医療機関に指定されており,発熱などの感冒症状ある方に新型コロナのPCR検査および抗原検査が可能なクリニックです。発熱などの症状が軽快したとしても「コロナではない」とは言えませんので注意が必要です。感冒症状がある、もしくはあった方はまずはご連絡ください(0798-56-8733)。

 

ちょっとでも体調が悪い時は検査を考えましょう

「風邪です」は「コロナではない」という意味ではありません

「風邪」という言葉は病名というよりは症候群を表すので、鼻やのどの調子が悪い、もっと大雑把にいうと体調が悪い、というニュアンスで使われていることが多いです。下の図のようにどちらかと言うと広い意味での「風邪」として使っているのが多いでしょう。

仮に狭い意味であっても、新型コロナウイルスはその名の通りにウイルス性であり、肺などの下気道(気管支や肺)に炎症が及ぼさずに上気道(鼻やのど)のみの炎症であれば、ウイルス性上気道炎という診断になります。

ですので、「風邪」はコロナではないという意味ではなく、「コロナの可能性もありますよ」ということになります。また、「良くなったから、熱が下がったから大丈夫」という意味もコロナではないということではありません。「コロナかもしれないけど今のところは経過がいいでしょう」という意味になります。

無症状から軽い風邪症状、重症の肺炎までのすべてにコロナの可能性があると考えなければならないのが、新型コロナウイルスの困ったところなのです。

 

症状では風邪と新型コロナは区別できません

インフルエンザ、新型コロナ、かぜ(ウイルス性上気道炎を中心に)、アレルギー、それぞれの症状が出やすいか、を見た表になります。

✖の数が一番少ないのが新型コロナになります。これは、コロナはいろんな症状が出るために疑わなくてよい症状があまりない、ことを意味します。どうしてもコロナであってほしくないという気持ちがありますが、この症状であればコロナは疑わなくてよい、という風邪症状があまりないのが新型コロナの特徴ともいえます。

さらにインフルエンザと新型コロナと風邪(ウイルス性上気道炎)は同じ感染症ですので、同時に罹患する可能性は低くなります。しかし、よく似た症状のアレルギーは感染症ではありません。となるとアレルギーと感染症が合併することはよくあるケースで、しかも症状が混ざってしまうために鑑別がさらにしにくくなってしまいます。

「風邪か?アレルギーか?」と「風邪も、アレルギーも」

 

発熱外来でのコロナ対応について

STEP 1 (検査)

精度が100%の検査は残念ながらあり得ません。現在、最も信頼度が高い鼻咽腔ぬぐいによるPCR検査でも、タイミングなどによりますが、陽性率は70~80%とされています。ということは、新型コロナ患者さんの4~5人に1人は陰性になってしまうことになります。検査結果と症状や経過を総合的に判断するとが大切です。

濃厚接触者の方は無症状であってもPCR検査を行います。この場合、精度の低い抗原検査は基本的に用いられません。無症状であれば、直ちに検査でなくて4-5日してから検査を行ってもよいと考えられています。濃厚接触者の場合、無症状で陰性であっても、陽性患者さんとの最終接触日から14日間は自宅待機となります。もちろん濃厚接触者で感冒症状があれば、検査が必要になります。

わしお耳鼻咽喉科では最も精度が高いとされる「鼻咽腔採取によるPCR検査」を基本的に行っております。

PCR検査も抗原検査もいずれも陽性を調べる検査(コロナであるかを)ですので、陰性であったとしても「コロナではない」とは言えない検査になります。あくまでも症状、周りの状況とあわせて判断することが大切です。

 

STEP 2 (症状の経過観察)

陽性であった方は重症度を分類することになります。(STEP 3へ)

PCR検査で陰性でも症状が続いたり、無症状で陰性であっても自宅待機の期間に感冒症状が出たりすれば、再検査が必要です。濃厚接触者もしくはそれに準じた方は陽性患者さんと最後に接触した日より14日間は体調の経過を見ましょう。14日間は潜伏期の期間になります。新型コロナウイルス感染症の潜伏期間は1~14日(接触から5日目が多い)であるために2週間の経過観察が必要になります。

ちなみに感染力は発症の2日前からあります。このため無症状の人であってもうつさないための感染対策が必要になります。

また、重症化していない人では発症後7~10日で感染力がなくなります。ですので、治っているかを確かめるためにPCR検査をする必要はありません。症状がなくて、発症からの日数が経過していれば、仮にPCR検査で陽性であっても感染力はないと判断します。感染力をPCR検査で判断することは難しいのです。

 

陽性の場合は新型コロナウイルス感染症は指定感染症のため、当院より保健所に連絡を行い、その後の経過観察や治療の関しては保健所からの指示に基づく形になります。

 

STEP 3 (重症度分類)

重症度は軽症、中等症、重症に分類され、さらに中等症は軽症側の中等症Ⅰと重症寄りの中等症Ⅱに分類されます。

重症度の基準は呼吸状態です。肺炎を疑う所見があれば、重症化に注意が必要となります。その目安に血中酸素飽和度が用いられ、酸素が十分に体内にあれば良くて100%に近いほど良い呼吸状態です。パルスオキシメーターで96%以上あれば正常、と考えてよいので軽症になります。95%以下であれば呼吸状態が悪い可能性があると判断します。特に93%以下になれば自覚症状に関係なく、中等症Ⅱもしくは重症となり、酸素吸入などの治療が必要です。

93%<SpO₂<96%であっても、呼吸状態が悪い(呼吸不全)と中等症Ⅱとしての加療が必要です。酸素飽和度だけではなく、他の症状も含めて総合的な判断が必要です。

 

STEP4 (治療)

10月1日現在、残念ながら当院で行える治療はありません。まずは保健所より自宅療養、宿泊療養、入院の指示をされてから必要に応じて治療を行います。

しかし、西宮市では抗体カクテル療法が承認されて診断ついた時点で保健所に報告をするとともにわしお耳鼻咽喉科から直接、抗体カクテル療法を行える病院へ紹介できるようになりました。

抗体カクテル療法はすべての方は対象になるのではなく、発症7日以内の重症化リスクの高い方が適応となります。また、酸素吸入を必要としない軽症および中等症Ⅰが適応です。

さらに現在はいくつかの内服薬の治験も行われており、主に軽症の方が対象ですが、希望されれば条件を満たしていれば参加することも可能になってきています。

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000830185.pdf

 

 

コロナワクチンの接種が終わっても感染対策は続けましょう

100%大丈夫というワクチンはありません

残念ながらワクチンの効果は100%ではありません。また、ワクチン接種をされない方もいますので、日本中で明らかな効果がみられるまでは感染対策も引き続き継続する必要があります。ワクチンの効果が期待できるのも2回目の接種後1~2週間たってからと考えられています。

デルタ株などの変異株は従来株に比べて感染力が強いと言われています。しかし、屋外では十分なソーシャルディスタンスがあれば、変異株であっても感染リスクはほとんどなく、マスクの必要はありません。「マスクよりソーシャルディスタンス」です。また、空気感染・エアロゾル感染などと言われている空気中に残ったウイルスによる感染も屋外などの換気が十分されている状況であれば問題ありません。

ワクチンは感染対策の一つであり、マスクや手指消毒、換気など、状況に応じた感染対策を行い、新型コロナウイルス感染症を正しく恐れましょう。

子どもの新型コロナに対する考え方

デルタ変異株が主流になるまでは小児の新型コロナ患者さんが珍しいとされていました。これまでは「うつりにくい、うつしにくい、こじれにくい」という小児での新型コロナの特徴が「うつらない、うつさない、こじれない」として対応されてきた感じでした。しかし、感染力が強くなったデルタ変異株では小児への感染が多くなりました。「大人から子ども」だけではなく「子どもから子ども」の感染も認められるようになりました。

もちろん、「うつりにくい、うつしにくい、こじれにくい」が変わったのではなく、「うつらない、うつさない、こじれない」わけではないのだということです。大人より「うつりにくい、うつしにくい、こじれにくい」という特徴はそのままです。

 

風邪やインフルエンザなどと違って新型コロナは大人の方が注意が必要

一般的に風邪やインフルエンザは「子どもより大人の方がリスクが低い」として対応されています。ですので、子ども看病をしていてうつってしまっても、大丈夫だろうとしていますよね。

しかし、新型コロナは「子どもより大人の方がリスクが高い」病気です。もちろんお子さんが新型コロナに罹ってしまったら大人が看病してあげなければなりません。そこで風邪やインフルエンザよりもしっかりと感染対策を行った状態で対応する必要があることに注意しましょう。自分自身の体調管理が重要になってきます。

高齢者に関しては、免疫力が低下しているので感染症すべてに注意が必要である、のは言うまでもありません。

わしお耳鼻咽喉科 院長  鷲尾 有司

地域の皆様に少しでも貢献したいという思いを抱き、2011年11月11日に「わしお耳鼻咽喉科」を開院。

アレルギー治療を得意とし、「最新の正しい医療情報を共有して一緒に考える医療の提供」「できるだけ薬に依存しない治療法の提案」「患者様の負担を減らすための各種日帰り手術の提供」をなどを進める。

子どもたちの未来のために、“まちのお医者さん”をめざしています。

わしお耳鼻咽喉科 TEL: 0798-56-8733 兵庫県西宮市瓦林町20-13
【診察】午前8:45~12:00 午後15:45~19:00【休診日】水曜と土曜の午後 日曜・祝日