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結局、コロナは風邪と言っている? ~今は11波~





今、沖縄地方を中心に新型コロナの11波が来ている状況です。夏休みの時期も重なることも考えると、全国的に広がる可能性が懸念されます。

残念ながら、「症状だけではコロナではないと判断するのが難しい病気である」ということをこの4年で学んできました。感染対策をあまりしなくなった今だからこそ風邪症状があれば、うつすとよくない人のためにも「コロナかもしれない」として行動をしたいですね。

わしお耳鼻咽喉科でも7月に入って今までに50名以上の新型コロナウイルス感染症を診察しています。あくまでも受診をされて、検査をうけて、陽性になった人の数ですので、氷山に一角と考えてもらった方が良いでしょう。皆さんが思っている以上に周りにいるかもしれません。

何も症状のない人は普段通りでよいと思いますが、特に風邪症状のあるは「コロナではないはずだ」ではなく、「コロナかもしれない」として行動をした方が良いでしょう。

結局は「風邪」の意味を誤解なく理解してもらうことが一番です。

 

「風邪」はわからないままで行きましょう という意味

①今ひどくない(熱などが無い、またはあったけどマシになった)

②所見上、特別な診断がつかない

③特別な治療を必要としない

だから、「診断をつけずに、経過観察で行きましょう」という意味が「風邪」です。

「風邪」の原因はウイルス性がほとんどですが、それ以外にも細菌やアレルギーなども考えられます。また重複していることも考慮する必要があるので、ややこしいですね。そういった意味でも「風邪」という言葉は便利な時があります。

 

①今ひどくない(熱などが無い、またはあったけど下がった)

「症状が軽いから、熱が無いから、コロナではないと思います」とか「前にコロナにかかった時とは感じが違うのでコロナでないと思います」といったことを診察中もよく耳にします。そう思いたいのは理解できますが、残念ながら、そうならないのがコロナです。確か、無症状でもコロナの場合がありましたよね。感染状況によっては、もう感染対策をあまり行っていないので、みんなが濃厚接触者ということになります。

特に大人は熱がないなど症状が軽かったり、熱がすぐに下がったなど経過が良かったり、すればすべて「風邪」ということになりますよね。お子さんの場合も検査をできるだけしたくない、させてたくない、という気持ちが当然あると思いますから、これもすべて「風邪」ということになります。

もちろんコロナに限った話ではなく、他の感染症や感染症以外も含めてです。これらは「診断をつけずに、ひどくないし、経過が悪くないので分からないままで行きましょう」ということですよね。

②所見上、特別な診断がつかない

手足口病やヘルパンギーナなどは視診によって診断する病気となります。検査をすることは基本的にありません。もちろん経過によっては除外診断が必要になる場合もありますが・・・

手足口病とヘルパンギーナ(大人も注意!)

一方で喉が赤いとか扁桃腺(本当は扁桃)が腫れているとかは炎症が起こっている部位を指しているだけで、原因には触れていない表現です。咽頭炎、扁桃炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎などはすべて炎症の部位を表す言葉になります。どんなウイルスや細菌で起こっているのか、は分かっていないという意味でもあります

もちろん、炎症の部位や周囲の感染状況である程度の絞り込みは出来ますが、診断の確定には至っていないのです。しかし、症状が軽かったり、経過が良かったり、すれば確定までせずに経過観察しています。これが「風邪」です。

もちろん原因がわかっていなくても、喉の専門である耳鼻咽喉科では、急性喉頭蓋炎、扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍、などなど特別な状況を除外することが必要となり、状況に応じたな治療をする場合があります。

 

③特別な治療を必要としない

診断がついていないのが風邪ですので、特効薬はありません。風邪治療の基本は自分の免疫で治すことです。

風邪のほとんどがウイルスによるものですので、抗生剤は効果がありません。現在、世界的にも抗生剤を乱用することによって生じる耐性菌が問題になっています。細菌が原因であっても薬を使わなくて治ってしまうこともあります。本当に抗生剤が必要であるか?、なんとなく効きそうだからで使ってないか?、をしっかりと判断する必要があります。

年齢や基礎疾患によっては検査に基づいて、診断を行い、特別な治療を必要とする場合があります。例えば、一律に溶連菌感染症だからすべて抗生剤を投与する、わけでなくて、抗生剤の投与が必要な状況(高熱が継続している、腎炎・リウマチ熱などの合併のリスクがある、など)であれば、しっかりと治療をする、といったメリハリが必要であるのです。

大人もかかる溶連菌の症状・検査・治療について

④検査をしないという意味は

もちろん必ず検査をしなければならないということではありません。あくまでも目的をもって検査は行われるべきです。

コロナの場合の検査目的は二つです。治療目的と感染拡大予防目的です。コロナは60歳以上の高齢者や高血圧・糖尿病などの重症化リスクが高いことが分かっいます。ですので、これらに当てはまらずに重症化していない人は基本的に対症療法(自分の免疫でなおす、すなわち風邪治療と同じ)になります。さらにコロナである可能性を理解してしっかりと感染対策を行っていれば、直ちに検査をする必要はないということになります。

新型コロナウイルス感染症が感染症法上の第五類に分類されているということは、このことを理解して病院に診察に行くのか、検査をするのか、を個人で判断する必要があるということになります。

検査をしないという意味は、「分からないままで行きましょう、状況が変わればもう一度考えましょう」ということですね

もちろん検査をしたとしても、検査の精度(100%の精度はありません)、検査の種類(検査したものしかわかりません)を考慮して、陰性であっても、少し風邪の範囲が狭まっただけだと思って感染対策をしましょう。

結局は、重症化せずに治って、周りにうつさなければ、OKということです

 

 

わしお耳鼻咽喉科 院長  鷲尾 有司

地域の皆様に少しでも貢献したいという思いを抱き、2011年11月11日に「わしお耳鼻咽喉科」を開院。

アレルギー治療を得意とし、「最新の正しい医療情報を共有して一緒に考える医療の提供」「できるだけ薬に依存しない治療法の提案」「患者様の負担を減らすための各種日帰り手術の提供」をなどを進める。

子どもたちの未来のために、“まちのお医者さん”をめざしています。

わしお耳鼻咽喉科 TEL: 0798-56-8733 兵庫県西宮市瓦林町20-13
【診察】午前8:45~12:00 午後15:45~19:00【休診日】水曜と土曜の午後 日曜・祝日