今からできる花粉症対策(受験生編)
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がまだまだ収束しませんが、春の花粉症シーズンもそろそろやってきます。花粉症の症状が落ち着ていないと、花粉症の症状か?、コロナの症状か?、わからなくなってしまうかもしれません。
「いつもの花粉症だから」ではなく、今年は特に「計画的に」しっかりと花粉症対策を立てましょう。
2、3月がメインのスギ花粉と3、4月がメインのヒノキ花粉症。スギ花粉症とヒノキ花粉症の二つを合わせて、花粉症といっていることも多いのではないでしょうか?
この時期は受験生にとって、最も大切な受験シーズンになります。花粉症を持つ受験生が今までの成果を最大限発揮するためには、大切な体調管理をする上で、新型コロナ対策と花粉症対策の両方が大事となります。新型コロナ対策は感染症対策の基本となりますので、インフルエンザ対策および風邪対策にも十分効果的です。引き続き、感染予防策を行いましょう。
まずは花粉回避対策を
今年は新型コロナ対策を行っていれば、十分な花粉対策になるでしょう。
体の中に入ってこないように、マスクをしたり、こまめに手洗いやうがいを行ったりすることは感染症対策と花粉症対策に共通しています。さらに、室内に持ち込まないという点でもウイルスと花粉は同様の考え方ができます。違うところといえば、「換気」、すなわち室内空気の対策です。感染症対策では室内と室外の空気を入れ替えることが大切ですが、花粉対策となると室外の空気、すなわち花粉、を室内に入れないことが大事です。両方の対策をするために、室内の人数や花粉症の人の有無などの状況によって、時間やサーキュレーターなどを用いてながら、上手に換気を行う必要があります。
いつもの花粉症対策
毎年の花粉症対策で、十分な効果があって、眠気などの副作用がなければ、いつも通りの花粉症対策が良いでしょう。いつもうまく花粉症と付き合っていけている人は変えない方が良いと言えます。
調子に合わせて薬を飲んだり飲まなかったりしている人は、2月初めから受験が終わるまでは継続して薬を使用すること、がおススメです。抗ヒスタミン薬も点鼻ステロイド薬も継続した方が効果的なのです。眠気以外の副作用は多くありませんので、今までに副作用がなかった人は続けてみてください。
毎年、レーザー治療でうまくいっている人も同じです。今までと同様の時期にレーザー治療を受けましょう。さらに、眠気などがなければ、いつもの薬を2月初めから受験が終わるまでは継続してしておく、とさらに効果的でしょう
ただし、今年は新型コロナ対策のために、例年よりマスクの使用頻度が高いと思います。飛沫中のウイルスや花粉を防ぐためにマスクは有効ではありますが、合わないマスク自体によってアレルギー症状が悪くなることも多いです。マスク不足であった時期より多くの種類を選べる状況になっていますので、マスクの素材も自分や環境に合わせて選ぶ方が良いでしょう。
花粉という自然相手の対策なので、「悪くなるかもしれない」という前提で対策を練っておくことが重要です。
いつもと違う花粉症対策にはレーザー治療とゾレア(オマリズマブ)
受験のことを考えると、いつもの花粉症対策と違うことをすることはお勧めではありません。(花粉症対策も前もって計画的にすることがおススメです)そうは言っても、少しでも良い状態で本番に備えたいですよね。いつもの花粉症治療に追加できる治療として、レーザー治療とゾレアという薬があります。
レーザー治療は花粉症の症状が出る前にする治療
レーザー治療の効果が出始めるには3~4週間必要になります。花粉が飛び始める3~4週間前の1月中旬~1月下旬が理想的な時期になります。
レーザー治療のポイントは2つ。
①鼻閉(鼻づまり)がひどい人には期待できる治療
レーザー治療はくしゃみ・鼻水の症状より鼻閉(鼻づまり)に対して効果が期待できます。くしゃみ・鼻水に対して抗ヒスタミン薬や点鼻ステロイド薬を、鼻閉(鼻づまり)にはレーザー治療を、といった合わせ技もアリです。
②レーザー治療の後1週間ぐらいは鼻症状がヒドくなるかも
レーザー治療は鼻粘膜を焼灼することによって効果を発揮する治療です。焼灼によって生じた炎症で一時的に鼻水が出たり、鼻がムズムズしたり、鼻がつまったりすることがあります。そのあと3~4週間くらいで鼻粘膜の炎症が落ち着きます。
もっと知りたい方はレーザー治療について
今年は新型コロナウイルス対策のため、わしお耳鼻咽喉科でもレーザー治療を予約制にしております。まずは、わしお耳鼻咽喉科(0798-56-8733)にご連絡ください。
ゾレアは症状が出てからの治療
ゾレアは抗IgE抗体製剤といわれる抗体製剤であり、花粉症の薬といわれる従来の抗ヒスタミン薬や点鼻ステロイド薬とは全く作用機序が異なった薬です。残念ながら、今までの花粉症の薬と同じで、ゾレアも症状の緩和が目的である対症療法であり、根治が期待できる治療はアレルゲン免疫療法(皮下、舌下)のみです。
ただし、今までの治療ではうまくいかなかった花粉症の人にとって、ゾレアという武器がもう一つできたことには間違いありません。
ゾレア治療を始めるにあたってのポイントは3つあります
①重症花粉症の人で投薬治療で十分な効果が得られなかった人が対象
他にも血液検査の結果や体重・年齢など、いくつかの条件があります。詳しくはhttps://hajimete-xolair.jp/やスギ花粉のピークと新しい花粉症の薬~ゾレア~を参考にしてみてください。
②ゾレアを処方しているクリニックは多くない
残念ながらどこでも扱っている薬ではありません。取り扱いがある病院かは事前に確認しておきましょう。(わしお耳鼻咽喉科はゾレアを処方可能です)
③医療費が高価になる可能性がある
自費診療の薬だから高価であるわけではありません。保険診療で認められた薬ですので、自己負担割合が3割の方は3割負担であり、0割負担の方は0割です。ただし、俗にいう花粉症の薬よりは高いイメージの場合があります。詳細はhttps://hajimete-xolair.jp/の「医療費について」を参照ください
ゾレアもレーザー治療と同じで、症状緩和の対症療法あり、あくまでも抗ヒスタミン薬に追加することが前提です。
受験が落ち着いたらアレルゲン免疫療法も選択肢に
今のところ根治が期待できる花粉症の治療はアレルゲン免疫療法(皮下免疫療法、舌下免疫療法)しかありません。その他の治療は症状軽減が目的であり、根治を期待する治療ではありません。また、自然治癒も期待しにくいのが花粉症です。
受験は終わっても、花粉症はまた来年やってきます。花粉症の時期が終わって、受験も落ちついた時期に来年の花粉症対策を考えましょう。
花粉症のWeb記事を監修いたしました。参考にしてみてください。
https://halmek.co.jp/beauty/c/healthr/3157
この記事を書いた人
わしお耳鼻咽喉科 院長 鷲尾 有司
地域の皆様に少しでも貢献したいという思いを抱き、2011年11月11日に「わしお耳鼻咽喉科」を開院。
アレルギー治療を得意とし、「最新の正しい医療情報を共有して一緒に考える医療の提供」「できるだけ薬に依存しない治療法の提案」「患者様の負担を減らすための各種日帰り手術の提供」をなどを進める。
子どもたちの未来のために、“まちのお医者さん”をめざしています。