結局、コロナの検査とインフルエンザの検査はどうすればいいの? ~第5類になってから~
目次
新年あけましておめでとうございます
COVID-19が感染症法上の第5類(インフルエンザと同じ)に分類されて初めてのお正月ですね。年末にはインフルエンザの患者さんもCOVID-19の患者さんもまだまだいたことから考えると、お正月でどちらも収束するとは思いにくいですね。
基本的にはどちらも(ほかの感染症も)「経過が良いこと」、「ほかの人にうつさないこと」の二つが大切になります。
新年早々ですが、今年も新型コロナ、インフルエンザについておさらいしておきましょう。
インフルエンザとCOVID-19の同じところは
症状が軽かったり、経過が良かったりすれば、「インフルもコロナも風邪」
コロナやインフルエンザの話題になるときには必ずと言っていいぐらい「風邪」という言葉が出てきます。
そもそも風邪とは何でしょう。われわれ医療関係者もコロナが出てくるまであまり深く考えずに使用していた言葉です。ですが、どういった意味で使っているのでしょうか?
風邪というのは病名ではないので、インフルエンザやコロナと並べて使うと誤解が生じやすくなります。風邪と近い意味で使われているのは風邪症候群です。症候群ですので、同じような症状の病気の集まりということです。しかし、症候群というのは、本来、検査をし尽して、診断がつかない場合に使われるものです。
そもそも風邪症候群の検査は症状がひどい場合、経過が長い場合などにしか行われません。ですので、「いろいろな検査をする前の風邪」と「検査をした後の風邪」とは意味が異なってきます。しかも、その検査もどんな検査をしたか?、その検査の精度はどれぐらいか?、によっても意味が異なります。
(忘れているかと思われますが、確か、COVID-19の検査はそんなに精度は高くなかったですよね ➡ もう一度、コロナの検査を整理しましょう)
軽い場合や経過がいい場合は、特別な治療を要さないために、風邪の中にインフルエンザもCOVID-19も含まれているということを頭に入れて感染対策さえすれば、問題ありません。
結局は経過観察(ほったらかしではなく)と感染対策です。
インフルもコロナも60歳以上は要注意
インフルエンザも新型コロナも、どちらも60歳以上になると重症化率が高くなります。厚労省の資料によりますと、60歳未満ではどちらも0.03%ですが、60歳以上では季節性インフルエンザで0.79%(約26倍)、新型コロナになるとオミクロン株でも2.49%(約83倍)に跳ね上がります。やはり高齢者の方が注意するのはもちろんのこと、高齢者の方にうつさないように注意が必要ですね。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000964409.pdf
インフルもコロナも診断は「検査のみではない」
どちらの診断も「周りの感染状況」、「自覚症状」、「検査結果」の3つから総合的に判断します。
3つの条件がそろっていれば、診断は難しくありません。例えば、「周りで流行していて、高熱が出て、検査が陽性であれば」診断は容易です。ではどのタイミングで検査をすればよいのでしょうか?
インフルエンザとCOVID-19の両方が流行っている時期には、抗インフルエンザ薬の使用にあたり、まず発症48時間以内と48時間以上で検査の必要性が変わります。受診の目安は発症(発熱)2日以内ということです。
自覚症状でインフルエンザとCOVID-19の鑑別診断は難しく、周りの状況と検査をするしかないです。しかし、COVID-19の診断をされないことが多くなった今では、まるで撲滅されたようです。
もちろん、症状が軽い場合、経過が良い場合には必ずしも検査は必要としないでしょう。ただし、周りにCOVID-19の人がいなくても、可能性があることは頭に入れて行動をしましょう。
インフルエンザとCOVID-19の違うところは
コロナの方がインフルより感染力が高い
現在のオミクロン株で家庭内感染の確率は約30%と言われています。インフルエンザの家庭内感染は10%程度と言われていますので
やはりコロナの方が感染力が高いのでしょう。しかし、インフルエンザもコロナ禍を経て、確率が高くなっているとのデータがありますので、どちらも家庭内での感染対策が大事ということですね。
コロナはインフルと異なって治療薬の対象者は少ない
インフルエンザは抗インフルエンザ薬が48時間に投与される必要があるため、必ずしも3条件がそろっていなくても早期の受診が必要となります。しかし、経過が良いインフルエンザ(風邪)は必ずしも抗インフルエンザ薬の投与は必要ではありません。もちろんもう周りへの感染対策は必要となります。
高齢者や基礎疾患のある人、症状のひどい人など、抗コロナウイルス薬の投与対象者は、発症後72時間以内に内服開始するゾコーバや発症5日以内に内服開始するラゲブリオ、パキロビットなど発症後可能な限り早期に投与する薬剤が中心であるため、こちらも早期の受診が必要となります。
新型コロナに対する薬であるラゲブリオ、パキロビットは重症化予防が主の目的ですので、対象が限られます。重症化のリスクが高くなくて症状の軽い人は対症療法のみ(要するに風邪と同じ)で良いと考えます。
2022年3月号:新型コロナウイルス感染症内服治療薬「ラゲブリオ」について
COVID-19の罹患後症状(いわゆる後遺症)の問題
厚労省のホームページではCOVID-19罹患後症状(いわゆる後遺症)に関して
WHOは、「post COVID-19 condition(long COVID)」として、「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に罹患した人にみられ、少なくとも2ヵ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないものである。通常はCOVID-19の発症から3ヵ月経った時点にもみられる」 としています
なんでもかんでも全てコロナだけの影響ではありませんが、これも十分に頭に入れておく必要があります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kouisyou_qa.html
まだまだ解明されていないことが多い後遺症ですが、「罹らないように、うつさないように」することが一番です。
耳鼻咽喉科、アレルギーの専門である「わしお耳鼻咽喉科」は風邪の専門家として2024年も可能な限りの診療を行ってまいります。
引き続き「わしお耳鼻咽喉科」をよろしくお願いいたします。
この記事を書いた人
わしお耳鼻咽喉科 院長 鷲尾 有司
地域の皆様に少しでも貢献したいという思いを抱き、2011年11月11日に「わしお耳鼻咽喉科」を開院。
アレルギー治療を得意とし、「最新の正しい医療情報を共有して一緒に考える医療の提供」「できるだけ薬に依存しない治療法の提案」「患者様の負担を減らすための各種日帰り手術の提供」をなどを進める。
子どもたちの未来のために、“まちのお医者さん”をめざしています。