花粉の飛び始めとは ~2020年の予想~
目次
そろそろ花粉が飛び始める時期が近づいてきましたね。
ところで「花粉が飛び始めた」ということはどういうことなのでしょうか?
花粉が飛び出すもっと前から花粉症の症状が出ているから、もう花粉が飛んでるんじゃないの?って思ったことはないですか。
飛散開始日と初観測日
実は花粉の飛び始めということには「飛散開始日」と「初観測日」の2種類あるのです。
初観測日というのはその通りで初めてスギ花粉が観測された日のことです。ただし、1月1日からの初観測ですので、前の年の12月に飛んだ分の花粉はカウントされないのです。次に、飛散開始日というのは1月1日を過ぎて、観測プレパラートで1個/㎠以上の日が2日連続飛散した初日のことを言います。ということは、花粉が飛んでいても、1個/㎠以上飛ばなかったり、2日連続で飛ばなかったりすればカウントされないということになります。一般的には「花粉の飛び始め」は花粉飛散開始日のことを言うので、初観測日から飛散開始日の間は花粉が飛んでいる日があるけど本格的にはまだ飛んでいないということになります。簡単に言うと花粉飛散開始日というのは「本格的に」花粉が飛び始めた日という意味になります。
ちなみに飛散終了日というのは観測プレパラートで3日連続で0個だった日の最初の日ですので、そのあとにたまに花粉が飛んでもカウントされないのです。
では2020年のスギ花粉飛散開始日の予想はどうなっているのでしょうか?
日本気象協会の予報では、関西は例年通りで、バレンタインデーを少し過ぎた2月24日ごろの予想になっています。
西宮市の飛散開始日と初観測日
下の表は西宮市の過去5年間の初観測日と飛散開始日を西宮市環境衛生課の資料を基に示したものです。
わしお耳鼻咽喉科のあるのは中部になりますので、年明けごろにスギ花粉の初観測がされてから、2月20日前後から本格的に飛散開始になることが多いようです。
もちろん、花粉の飛散は自然現象ですので、その年の気象条件によって変わるので、あくまでも参考です。余裕をもって対策を立てることが大切になります。
ヒノキ花粉の飛散開始日は3月下旬ごろであり、少なくとも5月上旬のゴールデンウィークまでは注意が必要ということです。年によっては5月中旬まで気を付けなければならない時もあります。
2020年の花粉飛散量予想
2020年のスギ花粉飛散量の予想では日本気象協会(第2報)でもウェザーニューズでも昨シーズン(2019年)よりも非常に少ない傾向にあります。
また、2020年は例年と比べても少ない年になりそうです。
花粉症の方にとっては非常にうれしいニュースですね。しかし、油断は禁物です。次のグラフは最近10年の近畿地方での花粉飛散量を示したものです。
2019年は花粉が多く飛んだ大量飛散の年になりますので、2020年はそれ比べると少ないのですが、2018年の飛散量とあまり変わらない予想といえますね。特に大量飛散の年には新たに花粉症を発症することが多いと言われており、発症から数年は症状が悪化するとも言われています。やはり油断はせずにしっかりと花粉症対策を立てておいて損はなさそうですね。では今からどんな治療ができるのでしょうか?
レーザー治療と薬による初期治療
スギ花粉症の治療には次の3種類の治療があります。
①薬による治療 ⇒ お薬で症状を抑える治療法(ホームページへ)
②レーザー治療 ⇒ アレルギー性鼻炎・花粉症レーザー手術(ホームページへ)
③アレルゲン免疫療法(皮下免疫療法、舌下免疫療法) ⇒ アレルゲン免疫療法(皮下・舌下免疫療法)(ホームページへ)
このうち、三つ目のアレルゲン免疫療法は根治を目標にした治療法ですが、効果発現まで数か月かかる治療法ですので、残念ながら今から始めても今シーズンの花粉時期には効果が期待できないのです。となると、今からできる治療法は薬による治療法とレーザー治療の2つということになります。
薬による初期治療
一般的な花粉症の薬というと抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬といわる薬のことが多いでしょう。これらの抗アレルギー薬には内服後数十分から数時間で効果発現する作用と1~2週間継続的に内服してゆっくり効果を発現する作用とがあります。というこということは1~2週間続けて飲んで薬の効果が100%出るのです。
スギ花粉症の場合であれば、花粉飛散開始日の1~2週間前から飲んでおくと効果的であります。花粉が飛び始める前から薬を飲んでおく治療法を初期治療と呼びます。よく花粉症の予防薬という表現をしていることがありますが、予防薬という特別な薬があるのではないのです。花粉症の薬といわれる抗アレルギー薬を前もって飲むということで、予防薬というより予防的に内服して薬の効果を最大限に発揮しましょうということなのです。
2020年の場合であれば飛散開始日の予想が2月24日ですので、その1~2週間前の2月10日ごろから飲み始めると良いでしょう。もちろん、あくまでも予想ですので、余裕をもって2月に入ったら飲み始めても良いでしょう。あまり早くから飲んでいても効果はあまり変わらないのですが、初観測日から飛散開始日の間でも花粉が飛んでないという意味ではありませんので、症状があるようであれば、早くから飲み始めることになるでしょう。
また、抗アレルギー薬は内服薬だけではなく、点眼薬も同様ですので、毎年、眼の症状がつらい方は点眼薬も合わせて花粉が飛び始める前から点眼する初期治療を始めましょう。
いつレーザー治療をすれば良いの?
レーザー治療の効果が十分に発揮されるのは治療後3~4週間してからです。レーザーを焼灼した直後は一時的にレーザーによる炎症が起こるために鼻症状が出現もしくは悪化してしまいます。その炎症が落ち着くのが、およそ3〜4週間ぐらいなのです。一時的に鼻症状が悪化するレーザー治療は花粉が飛び始めてからでは難しくなるので、あくまでも花粉飛散前に行う治療になります。ということは花粉が飛び出す3~4週間前までに行うのが一番効果的です。2020年の飛散開始日予想は2月24日ですから1月下旬~2月上旬に治療するのが良いでしょう。
今までの薬やレーザーの効果からレーザー治療と薬による初期治療を併用することも可能です。毎年の治療の積み重ねが少しでも花粉症症状を軽くする近道になります。
スギ花粉症治療のフローチャート
当院でのレーザー治療は予約制ではありませんので、治療方針を相談の上、その日のうちにレーザー治療はすることが可能です。お気軽にご相談ください。
「わしお通信 No.25/2018年1月」はレーザー治療についてになります。また、わしお耳鼻咽喉科のホームページ内やスタッフブログ内にも花粉症の情報がたくさんありますので参考にしてみてください。
わしお通信No.25/2018年1月 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
この記事を書いた人
わしお耳鼻咽喉科 院長 鷲尾 有司
地域の皆様に少しでも貢献したいという思いを抱き、2011年11月11日に「わしお耳鼻咽喉科」を開院。
アレルギー治療を得意とし、「最新の正しい医療情報を共有して一緒に考える医療の提供」「できるだけ薬に依存しない治療法の提案」「患者様の負担を減らすための各種日帰り手術の提供」をなどを進める。
子どもたちの未来のために、“まちのお医者さん”をめざしています。