花粉症の薬の選び方 ~OTC(市販薬)も~
目次
そろそろ花粉症の季節がやってきてしまいますね。実は今でもまだまだ花粉症の人が増えているの知っていますか?
鼻アレルギーガイドライン2016年版でもスギ花粉症の人は2008年の時点で4人に1人は花粉症であり、1998年から2008年の10年で10%も増加しています。さらに2019年の時点ではもっと増加していることが予想されます。
中でも低年齢の花粉症が増えていることで花粉症全体の割合が増えているのです。
「子どもだから花粉症はない」、「今まで花粉症じゃなかったから大丈夫」ではないかもしれないのです。花粉症は誰でも起こりうる国民病と言って過言ではないでしょう。
もし、春にくしゃみや鼻水が出たり、目がかゆくなったりすれば、「子どもでも花粉症かも?」「今年から花粉症かも?」と疑ってみてください。
もう花粉症と診断がついている人が気になるのは花粉の状況ですよね。では今年の花粉状況はどのような感じなのでしょうか?
現在の予想も例年通りであり、2月中旬~下旬からの飛散開始になりそうです。バレンタインデーを過ぎてからのよいお天気で気温が高い日が花粉飛散開始の要注意日になります。
2019年の花粉飛散予想
下に示しますのが、日本気象協会から発表されているの2019年スギ花粉の飛散開始予報です。
次に示しますのが、ウェザーニュースから発表されているの2019年スギ花粉の飛散開始予報です。
いずれにしても2月中旬から下旬に飛散開始となりそうですね。
スギ・ヒノキ花粉の飛散量は日本気象協会、ウェザーニュース、程度の違いはあるにせよ、どちらも昨年と同じか多い予想なっています。
やはり今年も、しっかりと対策をたてた方がよさそうですね。
西宮市の花粉情報はこちら ↓ ↓ ⇓ ⇓ ⇓ ↓ ↓
https://www.nishi.or.jp/kotsu/kankyo/taiki/kafun.html
花粉症薬の選び方
花粉症の症状は?
では花粉症の症状はどのようなものでしょうか?
もちろん、「鼻水が出て、目がかゆい」といった症状ですね。
花粉症というのは花粉によって引き起こされるアレルギー症状の総称になります。一般的には日本において花粉症というとスギ花粉症を指すことが多いですね。ヒノキ花粉症も合わせて、スギ・ヒノキ花粉症をスギ花粉症と言っていることも多いでしょう。
医学用語でいうと季節性アレルギー性鼻炎、季節性アレルギー性結膜炎、スギ花粉皮膚炎、気管支ぜんそくなどを合わせて花粉症と呼んでいるのです。ですから、鼻の症状、目の症状、皮膚の症状、咳の症状それぞれに治療が必要となります。
花粉症の薬の種類は?
花粉症にはいろいろな症状出ることがあります。ですから、薬の内容をわかって使った方がより良いですよね。
まずはどのような薬があるのでしょうか?
皆さんが一番なじみのある薬と言えば、「内服薬」と言われる飲み薬ですね。これには抗ヒスタミン薬とそれ以外の薬があります。
次に点鼻薬があります。直接、鼻にさす薬になります。実はこれにも種類がありますし、目薬の点眼薬にも種類があります。
皮膚炎に使う薬としては保湿剤とステロイド軟膏が中心になりますし、咳に対しては吸入薬を使う場合もあります。
症状に合わせて使い分けが必要になります。
さらに詳しくそれぞれの薬について見ていきましょう!
抗ヒスタミン薬の選び方
まずは一番使うことの多い内服薬から始めましょう!
内服薬には大きく2つに分けて、抗ヒスタミン薬とそれ以外の薬があります。花粉症の薬は抗アレルギー薬ともいわれますが、一般的には抗ヒスタミン作用のある薬を抗アレルギー薬の中でも抗ヒスタミン薬といいます。ふつう、抗ヒスタミン薬のことをアレルギーの薬と呼んでいますので、ここでもその意味で抗ヒスタミン薬と表します。
抗ヒスタミン薬というのはヒスタミンによる症状を抑えることによって効果が出る薬になります。ヒスタミンによる症状とは「くしゃみ・鼻水」と「かゆみ」が大きな2つです。「かゆみ」とは鼻のかゆみはもちろん、目のかゆみ、ノドのかゆみ、皮膚のかゆみ(耳のかゆみ)などで、どの場所でも抗ヒスタミン薬は効果が期待できます。
もちろん、目のかゆみには点眼薬、皮膚のかゆみには軟膏を合わせて使用する場合もありますが、一石二鳥、三鳥になれば楽ですね。
では、どの抗ヒスタミン薬がいいのでしょうか?
抗ヒスタミン薬には第一世代抗ヒスタミン薬と第二世代抗ヒスタミン薬とがあります。
なんじゃそりゃ、って感じですが、ようは古いやつと新しいやつがあるということです。大きな違いは抗コリン作用が強いかどうかです。抗コリン作用というのはのどが渇いたり、目がしょぼしょぼしたりという作用で、副作用として出てくる症状になります。また、眠気が出やすいのも特徴でしょう。
第一世代(古いやつ)抗ヒスタミン薬は副作用が出やすいので、現在では病院で処方されることは少なくなってきています。
しかし、薬局で売っているOTC(over the counter)には、まだまだ、第一世代の抗ヒスタミン薬が含まれています。OTCのアレルギーの薬を購入する場合、出来たら、「第一世代か? 第二世代か?」を確認して買うことをお勧めします。
薬局で販売されているOTC抗ヒスタミン薬(第一世代)は
クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、クレマスチンフマル酸塩などです。ケトチフェンフマル酸塩(ザジテン)、メキタジンは第二世代抗ヒスタミン薬に含まれますが、初期の第二世代のために実際は第一世代と同じように考えられることが多いです。
では、第二世代抗ヒスタミン薬では眠気がないのでしょうか?
実は、第二世代抗でも眠気が出やすいもの、出にくいものがあるのです。薬の説明書である添付文書にも車の運転で3段階に表現されています。
添付文書に車の運転の記載されていない薬(青色の薬)、車の運転の注意がされている薬(黄色の薬)、車の運転を禁止されている薬(赤色の薬)の3種類です。
どうしても最初は青色の薬から始めることが多くなります。効果が出なければ眠気を気にしないといけない薬になっていきます。しかし、実は眠気というのは効果の話ではなくて、脳に薬がいくかどうかの話なのです。ようするに「眠たくなる薬が良く効く薬ではない」のです。
さらに眠気が出る薬というのは赤の運転が禁止されている薬でも添付文書上で眠気は10%前後なのです。ということは10人に1人しか眠気が出ないことになります。もちろん、眠気が出なくても作業効率が落ちる可能性があります。インペアード・パフォーマンスといわれますが、眠気がなくても作業効率が落ちることも言われていますから青の薬から試してみることが多くなります。しかし、あくまでも眠気という副作用より、まずは効果が出ることが薬である以上、必要なことだと考えましょう。ですので、よく効く薬というのは「自分に合うかどうか」が最も大切なのです。
スイッチOTC医薬品って知ってますか?病院で処方される全く同じ成分、投与量の薬のことです。第二世代抗ヒスタミン薬にもスイッチOTC医薬品があります。
薬局でも聞いたことがある薬の場合もあれば、病院での処方名と薬局での商品名が違っている場合がありますが、一般名は同じです。もし、病院で処方してもらった抗ヒスタミン薬が効果があり、眠気などの副作用がなければ、薬局で処方薬と同じスイッチOTC医薬品を購入して、次回の受診時まで継続内服するのも一つの方法ですね。
次に前もって薬は飲むほうが良いといわれるのを知ってますか?
初期療法といわれる治療の仕方です。難しく言ってはいますが、ようは、「花粉が飛ぶ前から飲んでおいた方がいいですよ」ということです。
では、それはどうしてでしょうか?
抗ヒスタミン薬には抗ヒスタミン作用のアンタゴニストとしての効果以外に作用があるのです。それをメディエーター遊離抑制作用とインバースアゴニスト作用と呼ばれるものです。この効果が出るためには1~2週間かかるといわれてます。
難しい言葉が出てきましたが、抗ヒスタミン薬の効果が100%出るためには1~2週間かかるということになります。ですので花粉が飛散開始する1~2週間から飲み始めたほうが良いということです。
わしお耳鼻咽喉科のある西宮市(兵庫県)では今年も2月20日前後が飛散開始日であると予想されています。
もう、そろそろ飲み始めた方が良いということになりますね。
点鼻薬とは? どんな点鼻薬がいいの?
点鼻薬とは直接、鼻の中に薬を噴霧する薬の総称になります。
点鼻薬というとOTCで販売されている点鼻薬を連想される人も多いかと思います。OTC点鼻薬の多くは血管収縮薬といわれるものです。血管収縮薬とはそのとおりで、血管を縮める作用で主に粘膜を収縮させる作用です。ですから鼻づまりによく効く点鼻薬になります。特徴は即効がある(すぐ鼻詰まりが良くなる)ということでしょう。しかし、欠点は使いすぎるとリバウンドが来るということです。リバウンドというのは逆に鼻詰まりの原因になるということです。このことを知って使っている人は少ないかもしれません。OTC血管収縮点鼻薬の添付文書には理由が書いてないかも知れませんが、長期使用に対する注意が書いてあるはずです。OTC点鼻薬の場合でなかなか添付文書には目を通すことが難しいかもしれませんが、簡単に言うと「即効性のある点鼻薬を使過ぎると鼻詰まりがひどくなる」ということです。
実は花粉症の点鼻薬にも3種類あるのを知っていますか?
総称といったのは1種類ではないからです。3種類とはステロイド点鼻薬、血管収縮薬、抗アレルギー点鼻薬です。病院で処方される点鼻薬で最も多いのがステロイド点鼻薬です。「ええっ、ステロイド?」って思われた方も多いのかもしれません。現在、薬の中で最も誤解のある薬がステロイドかもしれません。
ステロイドで気を付けなければいけないのは内服薬だけと言っても過言ではないでしょう。それはどうして点鼻薬になっているのかを考えれば解ってもらえることでしょう。内服薬でもあまり副作用が起こりにくいといわれる1錠の5~10分の1(点鼻薬によります)しか1日に使用しないのです。しかも、それを鼻にしか使わないということは全身に吸収される量はよほどのことがなければ気にしなくても大丈夫とことになります。実はむしろ血管収縮薬の点鼻薬より安全に使える点鼻薬はステロイド点鼻薬になります。
また、ステロイド点鼻薬の効果は鼻づまりだけではなくて、くしゃみ・鼻水にも効果があります。そして、眠気が出ないという特徴もあります。
そういった点からも病院で処方される点鼻薬の中心がステロイドになるのです。
では、ステロイド点鼻薬の欠点はどういったものでしょうか?
実は、ステロイド点鼻薬にはあまり即効性がありません。ここにもステロイド点鼻薬の誤解があります。「副作用が強そうなステロイドだから即効性があるだろう」また、「点鼻薬って即効性があるもの」じゃあないのといった感覚の人が多いようです。実は、ステロイド点鼻薬には血管収縮薬のような分単位での効果は望めませんし、点鼻薬は即効性があるというのは血管収縮薬のことです。
したがって、ステロイド点鼻薬は続けることによって効果が出る薬なのです。前に書きましたように続けても副作用の可能性が非常に低く、安心して続けられる点鼻薬ということです。
ステロイド点鼻薬のタイプにも色々とあります。まずは使用回数による違いで、1日に1、2、4回点鼻をする点鼻薬があります。また、出てくる薬剤の形状によって噴霧スプレー式のタイプやパウダー式のタイプの2種類に分かれます。使用感があるのがスプレー式で刺激に弱い人はパウダー式がいいかもしれません。ナゾネックス、アラミストなど2歳以上のお子さんに使用できるものも出てきています。
いまよく使われるものには1日1回の点鼻薬でスプレー式のナゾネックス、アラミストやパウダー式のエリザスがあります。続けて使用しやすくて、もちろん、効果のある点鼻薬を選びましょう。
もう1種類、抗アレルギー点鼻薬があります。病院でもあまり処方されないかもしれませんが、抗ヒスタミン作用やメディエーター遊離抑制作用のある薬の点鼻薬です。すなわち、内服薬と同じでくしゃみや鼻汁の多い場合に効果が期待されるのですが、鼻づまりには効果的ではありません。内服薬のような眠気が出にくいという面がありますが、鼻以外の場所に効果が期待できませんので、内服薬やステロイド点鼻薬が使いづらい方に限定的に使用するのが実情になっています。
以上のことから、花粉症の人は内服薬と同じで、調子の悪いときだけでなく、花粉飛散の前からステロイド点鼻薬を定期的に点鼻することが快適生活つながるといえます。
目薬(点眼薬)の使い方
では、点眼薬にはどのようなものがあるのでしょう?大きく分けて2種類の点眼薬があります。抗アレルギー点眼薬とステロイド点眼薬です。何か点鼻薬と似ていますね。
しかし点眼薬の中心はステロイドではなくて抗アレルギー薬です。
ステロイド点眼薬は全身への副作用は点鼻薬と同様にあまりありませんが、長期使用すると眼圧が上昇して緑内障になる恐れがあります。レスポンダーといわれるなりやすい人とそうでない人がいるといわれていますが、そもそも眼圧が上がっても自覚症状がありませんので、定期的に眼圧を測定しない限り、眼圧が上昇しているかは分かりません。特にお子さんの方が眼圧は上昇しやすいといわれています。
したがって、当院でもステロイド点眼薬の使用は限定的であり、お子さんや長期使用が必要な方は眼科専門医の受診・処方を薦めさせていただいてます。
では、抗アレルギー点眼薬はどういったものでしょうか?
これも今までに似た話が出てきましたね。抗アレルギー点眼薬も抗ヒスタミン作用とメディエーター遊離抑制作用になります。抗ヒスタミン作用をもつ抗アレルギー点眼薬が中心になります。リボスチン、パタノール、ザジテン、アレジオンが頻用される点眼薬でしょう。抗アレルギー点眼薬の選び方の場合でも最も大事なのは効果があるかです。眠気という副作用を気にしなくてよい点眼薬ではまずは効いているかです。
こちらもより効果的に点眼薬を使うためには続けることになります。内服薬を同じように100%の効果を発揮するためには継続使用ということです。
次によくある点で、裸眼か、コンタクトレンズを使用しているか、になります。現在、抗ヒスタミン作用のある点眼薬の中でコンタクトレンズの上から点眼可能な薬剤はアレジオンのみになっています。アレジオン点眼薬にはベンザルコニウム塩化物(BAK)という防腐剤が含まれていません。この防腐剤であるBAKがコンタクトレンズの天敵なのです。もちろん、BAKが含まれている点眼薬もコンタクトレンズを外して点眼すれば使用は可能になります。そもそも花粉症の眼症状が強い場合は、コンタクトレンズをつけることをおススメされてません。目に対しての花粉症対策が優先されることはもちろんです。
やはり、抗アレルギー点眼薬も抗ヒスタミン内服薬やステロイド点鼻薬と同じように、目のかゆいときだけでなく、花粉飛散の前から抗アレルギー点眼薬を定期的にさすことが重要です。
保湿剤を使いましょう!
花粉が飛び出したら、鼻の症状や目のかゆみの症状しかありませんか?肌が露出している所にかゆみなどはありませんか?
もし春、花粉が飛んでいる時期にそのような皮膚の症状があればスギ花粉皮膚炎かもしれません。赤くなったり、湿疹ができたり、などの皮膚炎症状がなくても、かゆみや皮膚の調子が悪いなどがあれば、花粉症による皮膚症状を疑わないといけませんね。
花粉症の症状であっても、他の原因であっても、考え方はアトピー性皮膚炎の考え方になります。ようするにスキンケアと軟膏+原因の回避です。
原因の回避に関しては、今回は花粉ですので花粉症対策をしっかりとしましょう。
では、スキンケアとのどうなものでしょう?
基本的には清潔と保湿になります。清潔とは、しっかりと泡立てた石鹸をつかって、きめの細かい泡で、肌を傷つけないように、手のひらで体を洗うことです。洗った後も、石鹸が残らないように、しっかりと洗い流しましょう。保湿とは、皮膚の乾燥を防ぐために、皮膚の外側に一枚膜をつくりバリアーを張って皮膚からの水分が出ていくのを防ぎます。同時に、外からの花粉などの異物の侵入も防ぐことになります。大切なのは「カサカサになってから、ではなく、カサカサにならないように」です。保湿も花粉が飛んでくる前からしっかりとしておいたほうが良いのです。バリアーを張っておけば、皮膚からの花粉の収入を少なくすることができ、肌のトラブルを減らすことができます。
では、実際にはどのようなもの保湿剤が良いのでしょうか?
基本的は今、使っている保湿剤で十分です。ただし、自分に合ったものであり、皮膚が敏感になっているので刺激の少ないもの、添加物の少ないものがいいでしょう。
病院で処方する保湿効果のある軟膏としては白色ワセリン、ウレパール、ヒルドイドなどが多いですね。ポイントはどの保湿剤がいいというよりも「しっかりと、まめに」です。花粉が飛ぶ前から、毎日、十分な量で保湿をすることが大切になります。軟膏であれば、人差し指の第一関節まで出した量を1FTU(フィンガーチップユニット)と言い、1FTUで手のひら2枚分の面積に塗る量になります。イメージ的には少しべたつくぐらい塗る感じです。軟膏のほかにクリームやローション、スプレーなども色々とありますので使いやすいものを選ぶといいでしょう。
軟膏などの塗り方(動画)はこちら ↓ ↓ ↓ ⇓ ⇓ ⇓ ↓ ↓ ↓
http://www.maruho.co.jp/medical/hirudoid/product/howto/mv/hoshitsu_meyasu.html
当院にある「からだの洗いかた と 軟膏の塗りかた」も参考にしてみて下さい。
スキンケアによる予防のほかに、もう一つは軟膏による治療になります。
ここでの中心はステロイド軟膏による治療です。「アトピー性皮膚炎があって花粉症もある人」や「ハウスダストやダニなどの通年性アレルギーがあって花粉症もある人」は花粉症しかない人と比べると、もともと肌が弱い可能性が高いので「さらに悪くなる」という意味で注意が必要になります。もしかしたら、普段からステロイド軟膏を使っている人も多いかもしれません。
春の花粉による皮膚炎ですので、どうしても肌が露出している顔や首がひどくなることが多いです。顔は軟膏の吸収率の高い部位になりますので、通常は弱いタイプのステロイドを使用することが多くなるでしょう。
皮膚症状がひどくなる場合は、もちろん、皮膚科専門医で診てもらうことをおススメいたします。
咳にはどうするの?
花粉症の時に鼻や目の症状といっしょに咳も出る人は意外と多いかもしれません。
喘息治療ガイドラインでもアンケートで喘息を引き起こす誘因として16.2%の人が花粉をあげていました。アンケートですので、本当の咳の原因が花粉かどうかは?ですが、春の花粉の時期に咳が出やすくなることは多そうですね。
もう花粉症の人はご存知だと思いますが、スギやヒノキの花粉以外に春には黄砂やpm2.5といったものまで飛んできます。これらは花粉本体より小さい物質であり表面よりさらに奥まで入りやすい特徴があります。
ダニアレルギーがもともとあるために花粉以外の影響を受けやすい人や下気道まで入り込みやすい黄砂やpm2.5などが飛んできた時には咳にも注意が必要になります。花粉症の咳は気管支ぜんそくの可能性もあるためにしっかりと治療することが大切です。
まずは咳も予防することから始まります。気管支ぜんそくの人はもちろん、普段から咳が出やすい人、花粉症の時にはよく咳が出る人などは咳が出ることを想定しながら薬を飲みましょう。
抗ヒスタミン薬のところで内服薬には抗ヒスタミン薬以外にもあるというお話を少しふれましたね。その中に咳に効果的な薬があるのです。抗ロイコトリエン薬と呼ばれる薬になります。この薬は気管支ぜんそくの薬になりますが、アレルギー性鼻炎の適応もあるものが多いのです。オノン、キプレス、シングレアといった薬で咳と鼻づまりに効果が期待できる薬です。これらの薬でうまく咳のコントロールができていれば花粉飛散終了まで飲みましょう。
もし、うまくコントロールできなければ、気管支ぜんそくの治療に準ずる形で吸入ステロイド薬や気管支拡張薬を使うことを検討します。
花粉症の治療は鼻症状にしても、目の症状にしても、皮膚や咳にしても、「花粉飛散の前」から「花粉飛散が終わる」まで継続することが大切になります。ということは、いつまで花粉が飛ぶのかを知っておかなくてはなりません。
そのためにはまずは自分が「花粉症ではなく、なに花粉症?」なのかを知っていることが必要です。治療を行う前に病院できちんと検査をしておくことは非常に大切です。
西宮では2月下旬から4月上旬にスギ花粉が、3月下旬から5月上旬にヒノキ花粉が本格的に飛散します。スギ・ヒノキ花粉症であれば、バレンタインデーごろからゴールデンウィークごろまでが花粉飛散期なるので、2月入ったころからゴールデンウィークまでの3か月の間、治療が必要であることになります。
もし、ゴールデンウィークを越えてアレルギー症状が続く場合はイネ科の花粉症を疑う必要がありますので、引き続き治療を行いましょう。
これらのことを参考にして、今年こそは快適に花粉症の時期を過ごしましょう!
この記事を書いた人
わしお耳鼻咽喉科 院長 鷲尾 有司
地域の皆様に少しでも貢献したいという思いを抱き、2011年11月11日に「わしお耳鼻咽喉科」を開院。
アレルギー治療を得意とし、「最新の正しい医療情報を共有して一緒に考える医療の提供」「できるだけ薬に依存しない治療法の提案」「患者様の負担を減らすための各種日帰り手術の提供」をなどを進める。
子どもたちの未来のために、“まちのお医者さん”をめざしています。