37度台の微熱でも危険?「かぜ」とインフルエンザについて
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先週あたりからインフルエンザが増え始め、今日になって朝からインフルエンザ疑いの人が多くなってきました。
インフルエンザ注意報発令中です。
今年の特徴は例年ならばインフルエンザA型(1月下旬から2月上旬)が流行ってから、B型(2月中旬から下旬)が流行るのに、もうすでにB型も流行しはじめているのことです。
要するにA型もB型も両方とも注意しなくてはいけないということです。ということは、連続でかかってしまう場合や家族でももしかしたら違う型のインフルエンザかもしれない場合があります。
現在の傾向として、幼稚園・保育園・小学校低学年はB型が小学校高学年・中学生・高校生でA型が多く、大人はA型もB型も混ざっている状態です。今後はこの状態が入り乱れていく可能性がありますので十分注意が必要となります。
そこで「かぜ」とインフルエンザの違いについて考えてみましょう。
インフルエンザと「かぜ」の症状の違いは?
「かぜとちがって急に高い熱が出て、頭痛や筋肉痛やふしぶしに痛みが出てくるのがインフルエンザ」 大正解!!
では、ちょっと意地悪な質問をしてみましょう。
「高い熱がなくて、頭痛や関節痛あまりなかったら、インフルエンザではない」 これは残念ですが不正解
インフルエンザの検査が簡単に出来るようになって、体温が37℃台の微熱や36℃台の平熱と思われる症状であっても
調べてみるとインフルエンザだったということは多くみられます。
もちろん、「かぜ」に比べると頭痛や関節痛の全身症状が強く出ることが多いですが、高熱が必ず出るとは限らないのです。
また、インフルエンザでも前の日の夜は高い熱だったけど朝起きたらちょっと熱が下がったというように一時的に熱が下がることもよく見られます。
インフルエンザと「かぜ」の見分け方は?
残念ながら、微熱でもインフルエンザの可能性があるとなると症状で見分けることは難しいと言わざる負えないのです。
ということは検査をしてみないと分からないということです。
ですので
①インフルエンザが流行している時期
②家族や友達など、身近の人にインフルエンザの人がいる場合
には 微熱であってもしんどければ 病院に行って検査をしましょう!
では、もう一つの質問です。
「かぜ」とはなんでしょう?
医学書には かぜ症候群 という病名があります。「ウイルス性上気道炎」のことであると書いてます。
簡単に言うと ウイルス性=抗生物質の効かない、上気道炎=鼻からノドの炎症、 となります。
でも、皆さんは本当にこのかぜ症候群ことを「かぜ」と呼んでいるのでしょうか?「鼻かぜ」、「お腹のかぜ」、「かぜ気味」など「かぜ」にもいろいろな言い方があると思います。
結局、一般に使われている「かぜ」というのは「いろんな病気をあつめたもののことをいい、今は検査するほどひどくないので、良くなっていくか経過を見てみる病気」のことを言っているのではないでしょうか。「1~2週間ぐらいで薬を使わなくても治る病気の集まり」とも言えますね。
ということはインフルエンザも薬を使わなくても自分の免疫力で治せる病気でもあるのですから、微熱インフルエンザは「かぜ」の中に含まれていることがありますよね。
でもやはりインフルエンザは「かぜ」とは違いがあります
①重症化する場合がある
「かぜ」とは違って、重症化することがあります。
脳症や肺炎などに気をつけなければなりません。
免疫力の弱い乳幼児や高齢者、気管支ぜんそくなどの持病を持っている人は気をつけないといけません。
②感染力が強い
一気に感染が広まる可能性があるのがインフルエンザです。学校や幼稚園の学級閉鎖など社会生活に支障が出る可能性があります。
③インフルエンザ専用の薬がある
「かぜ」と違って、専用の治療薬があります。しかし、この薬はインフルエンザウイルスを退治する(治す)のではないのです。インフルエンザが増えるのをおさえる薬なのです。ですから、増えきってしまう前の48時間以内に使わないと効果的ではなくなってしまいます。(使わないから治らないということではありません)
抗インフルエンザ薬でインフルエンザの増殖を抑えて、今いるインフルエンザウイルスは自分の免疫力で退治することで治すのです。
ということは早く治るためには 「自分の免疫力(抵抗力) + 抗インフルエンザ薬」 両方がそろうことが大切になります。どちらか一つでも弱いと治るのに時間がかかってしまうことになります。(重症化しなければ、時間をかければ自分の免疫力だけでもほとんど治ってしまうとも言えます)
やはり、インフルエンザの可能性があれば、検査をしてちょっとでも早く治療した方がよいことになります。
当院では発症早期(発症12時間以内)でもインフルエンザウイルスを検出しやすい「インフルエンザ高感度検出装置」を採用しております。
昨年の実績ですが、この検査機を使用することで12時間以内のインフルエンザ疑いの人で45%、発症3時間以内でも38%の人に陽性が出ました。このことから「半日待たないと検査は出ない」は正しくないことがわかります。
「インフルエンザは早く治療を始めた方が早く治りやすい」ので、やはり検査も早くやった方がいいでしょう。
「インフルエンザかな?」と思ったら、早めに受診を
この記事を書いた人
わしお耳鼻咽喉科 院長 鷲尾 有司
地域の皆様に少しでも貢献したいという思いを抱き、2011年11月11日に「わしお耳鼻咽喉科」を開院。
アレルギー治療を得意とし、「最新の正しい医療情報を共有して一緒に考える医療の提供」「できるだけ薬に依存しない治療法の提案」「患者様の負担を減らすための各種日帰り手術の提供」をなどを進める。
子どもたちの未来のために、“まちのお医者さん”をめざしています。