子どもには花粉症はない???
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そろそろスギ花粉の飛散がピークが過ぎて、ヒノキ花粉の飛散開始日である3月23日以降、徐々にヒノキ花粉が多くなってくる頃になりました。
ヒノキ花粉は西日本方が東日本に比べて多いと言われてますので、一層の花粉対策が必要になります。
ところで3月に入ってから「鼻水が多い、目をこすっている」などお子さんの様子に変わりはないですか?
花粉症や鼻炎のないお父さん、お母さんには「子どもには花粉症はない」って思っている人も多いのではないでしょうか。
残念ながら、最近は子どもの花粉症が増えているのです。
東京都の報告では花粉症は年々、増加しており、14歳以下でも2016年のスギ花粉症推定有病率が40.3%です。
西宮の方がまだ有病率が低いと思われますが、東京と同様に増加の経過をたどる可能性は十分に考えなければなりません。
次の表は鼻アレルギー診療カイドライン2016年版に示された全国で1998年から2008年の10年でスギ花粉症の人がどれぐらい増えたかを見たものです。
こちらもやはり、どの年齢でも増加傾向にあり、全年齢では1998年の16.2%から2008年には26.5%に10%以上も増加しています。
幼稚園~小学校低学年の花粉症は
5-9歳のスギ花粉症の有病率は1998年では7.5%でしたが2008年には13.7%に約2倍に増加してます。
もう少し詳しく見てみましょう。1998年に0-9歳だったお子さんは2008年には10年成長して10-19歳になってますね。
ということは1998年はスギ花粉症であったのが7.5%(5-9歳)でしたが、2008年の10-19歳では31.4%の有病率ですので3倍以上に増えているということのなります。
これはスギ花粉症の増加は低年齢化であることを示しています。
東京都のデータを見ると2008年からの10年でさらに増加している可能性を考えなければいけません。
では10歳未満のアレルギー性鼻炎の原因で最も多いのがスギ花粉症なのでしょうか?
鼻アレルギー診療ガイドライン2016年版では5-9歳のスギ花粉症の有病率は13.7%、スギ花粉症以外の花粉症の有病率は8.3%でした。
しかし、もっと多いのは花粉症ではなくてダニが原因である通年性アレルギー性鼻炎であり、約4人に1人の22.5%の有病率でした。
ということは子ども花粉症はダニアレルギーも注意しなければいけないと言ことになります。
むしろ、「ダニアレルギーのお子さんは花粉症になりやすい」とも言えるのです。
ではどんなお子さんに花粉症の注意が必要なのでしょうか?
①春になると目をこすっている、目をかゆがっている (去年もこすっていた)
②もともと鼻が弱いけど、春になるともっとひどくなってきた
③喘息や食物アレルギーがあって、春になると鼻が出てきた
特にお父さん、お母さんに鼻炎・花粉症のある、お子さんは要注意です。
アレルギー検査は必要ですか?
よく「検査したら薬が変わりますか?」という質問をされます。残念ながら検査の結果では薬は変わりません。
では、なぜ当院では検査を勧めているのでしょう?
①薬以外の治療を選ぶため
②より効果的な投薬治療をするため
③鼻炎などの鼻症状以外のアレルギーをよくするため
「花粉症は花粉で起こるアレルギー」ですので花粉症の診断ということだけではなく、アレルギーの診断をするためにアレルギー検査をすることをお勧めいたします。
注射の苦手な小さなお子さんでも出来る注射器を使わないアレルギー検査も準備しています。詳しくは下のブログをご覧ください。
この記事を書いた人
わしお耳鼻咽喉科 院長 鷲尾 有司
地域の皆様に少しでも貢献したいという思いを抱き、2011年11月11日に「わしお耳鼻咽喉科」を開院。
アレルギー治療を得意とし、「最新の正しい医療情報を共有して一緒に考える医療の提供」「できるだけ薬に依存しない治療法の提案」「患者様の負担を減らすための各種日帰り手術の提供」をなどを進める。
子どもたちの未来のために、“まちのお医者さん”をめざしています。