コロナの検査とインフルエンザの検査をもう一度確認してみよう
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あけましておめでとうございます
現在、新型コロナウイルス感染症も第8波(いつまでかは??ですが)の最中で、不幸に経過をたどってしまった方が多くいる状況ではあります。
一方、インフルエンザの流行はCOVID-19のパンデミックがスタートしてから2020-21、2021-22の2年間は当院でも全くでしたが、どうやら2023年が過去2年のようにはいかなさそうです
そこで、もう一度、新型コロナ、インフルエンザの診断・検査についておさらいしておきましょう。
インフルもコロナも診断は「検査のみではない」
インフルエンザの診断は「周りの感染状況」、「自覚症状」、「検査結果」の3つから総合的に判断します。
3つの条件がそろっていれば、診断は難しくありません。例えば、「学校でインフルエンザが流行していて、高熱が出て、検査が陽性であれば」インフルエンザと診断します。必ずしも3条件がそろっていなくてもインフルエンザと診断されますが、抗インフルエンザ薬が48時間に投与される必要があるため、早期の受診が必要となります。
しかし、インフルエンザの診断をする際の前提条件が今年は異なります。
何が違うのかというと、COVID-19前は「冬の時期に子供から高齢者まで注意しなければいけない感染力の高い感染症はインフルエンザ以外は少ない」という前提で診断がされていましたが、今年はそうはいかないという点です。
一方で新型コロナウイルス感染症を診断する前提は2つ、「どこでも流行っている」、「どんな症状でも疑う」であります。
発症2日前から感染力のあるCOVID-19は、周りに体調の悪い人がなくても、感染してしまいます。
また、症状に関しても「熱のある方が疑わしい」ということを「熱がないから大丈夫」と勘違いしている人が異常に多いです。無症状から重症まで多彩な症状が認められるのがCOVID-19です。
残念ながら、「この風邪症状であればコロナは疑わなくても大丈夫」と言ってあげられないのがCOVID-19の難しい点です。
となると、「周りの状況」、「自覚症状」でインフルエンザとCOVID-19を鑑別診断することが難しいことになり、検査をするしかないということになります。
そこで検査上で問題となるのは2つ、
①検査すり抜け問題(検査結果が偽陰性) → 検査感度が100%でない限り必ず起こります
➁インフル、コロナ重複感染の問題
どちらも結論から言えば一つで「検査が陰性でも違うといえない」ということです。
加えて、抗コロナウイルス薬も発症後72時間以内に内服開始するゾコーバや発症5日以内に内服開始するラゲブリオ、パキロビットなど発症後可能な限り早期に投与する薬剤が中心であるため、こちらも早期の受診が必要となります。
抗インフルエンザ薬も抗COVID-19薬も確定診断なく処方をすることは難しいので、「自主検査を行ってよいかどうか」や、「検査結果をどう判断するか」など、自己での判断が困難な場合は保健所などの行政機関や医療機関にご相談ください。
「陰性だから違うとは言えない」ので、結局、検査は1回では難しい・・・
インフルエンザの検査も、COVID-19の検査も、タイミングなどにより、検査をする抜ける可能性を十分に考慮して行う必要があります。
どちらも陽性のなれば、診断は確定となりますが、「陰性だから違うとは言えない」。特にコロナは検査感度が低いことを十分に理解する必要があります。
また、少数かもしれませんが、重複感染(インフルもコロナも)もありうることを頭に入れておくことが必要です。
あくまでも、検査のタイミング、検査の種類(検体採取方法も含めて)を考えて判断(診断)することが必要となります。
自主検査する場合は自分が検査対象であるかを確認してください
自宅で検査をする場合(自主検査)は、まず検査対象であるか(https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf16/corona/kithaihu.html)が一番大事になります。新型コロナの重症化リスクのある人(①~③)は自主検査の対象にはなりません。
医療機関で検査を必要な方
①65歳以上
➁64歳以下で基礎疾患のある人
③妊婦
④水も飲めない、呼吸が苦しいなど、症状が重い方
わしお耳鼻咽喉科で陽性になってしまった方の中に「自宅で陰性だったのに」、「他院で陰性だったのに」という患者さんがたくさんいらっしゃいます。
検査陰性 ≠ コロナでない、インフルエンザではない
ということをもう一度理解し、「もしかしたら」と思ったら、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
まだまだ、新型コロナウイルス感染症の対応が必要となりますが、2023年も可能な限りの診療を行ってまいります。
引き続き「わしお耳鼻咽喉科」をよろしくお願いいたします。
この記事を書いた人
わしお耳鼻咽喉科 院長 鷲尾 有司
地域の皆様に少しでも貢献したいという思いを抱き、2011年11月11日に「わしお耳鼻咽喉科」を開院。
アレルギー治療を得意とし、「最新の正しい医療情報を共有して一緒に考える医療の提供」「できるだけ薬に依存しない治療法の提案」「患者様の負担を減らすための各種日帰り手術の提供」をなどを進める。
子どもたちの未来のために、“まちのお医者さん”をめざしています。