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大人もかかる溶連菌の症状・検査・治療について

2018-06-22
テーマ:お知らせ

お子さんたちの病気で「溶連菌」という病名をよく耳にすることがありますよね。

一般的には冬と春から初夏にかけて2つのピークがあるといわれていますが、他の時期にも感染しないことはないので1年中気を付ける必要がある病気です。

「溶連菌」ってなんでしょう?

溶連菌は溶血性連鎖球菌の略でα溶血とβ溶血するものがあり、β溶血がさらにA~V群(I・J除く)に分かれます。

しかし、一般的にはA群β溶血性連鎖球菌のことを指します。溶連菌が原因で起こる病気の総称を溶連菌感染症と呼び、そのほとんどの原因菌がA群β溶血性連鎖球菌になります。

 

では溶連菌は「かぜ」ですか?

答えはYESの時とNOの時があります。

どうしてでしょう。それは溶連菌ではなく「かぜ」という言葉の方に理由があります。

「かぜ」を教科書的な病名のかぜ症候群という意味で使えば、ウイルス性の上気道炎ということになり、細菌である溶連菌感染症ではないということになります。

しかし、皆さん(医者もそうかもしれませんが)が使っている「かぜ」という言葉は

のどが痛くて鼻水が出て、咳が出て、熱が出てというように原因・病名というより症状を表して使っていることが多いですね。

このような意味での「かぜ」であれば、溶連菌も「かぜ」の一つに含まれるということになります。

実はこの「かぜ」という意味を整理して使うことが治療に関係してきます。「かぜ」の治療に抗生物質を使うことの賛否を言われるようになってきました。

 

「かぜには抗生物質は効かない」という場合の「かぜ」はどちらの意味でしょう?

この場合、 「かぜ」はウイルス性の病気なので抗生物質は効かない という意味で使われています。

でも「かぜに抗生物質が効いた」という経験や話を聞いたこともあると思います。この場合はどうでしょう?

もし、この「かぜ」という意味が溶連菌も含めての意味であれば抗生物質が効いたのは十分理解できますね。

 

「かぜ」は

①ウイルス性上気道炎(かぜ症候群)

②症状をあらわしている言葉でたくさんの病気の集まり

という2種類の意味をわけて、使ってみると病院での治療や診断がわかりやすくなります。

 

溶連菌の健康保菌者???

それではノドが痛くなった場合の原因としての溶連菌はどれぐらい考えるのでしょう?

扁桃炎のうち溶連菌が原因であるのは大人で10%前後、子どもで15~30%ぐらいといわれています。

ノドが痛くなるのは扁桃炎以外でも咽頭炎、喉頭炎などありますので、もっと低い可能性ということになります。

また、溶連菌の特長として健康保菌者と考えがあります。

健康保菌者とは「溶連菌がいているのに症状が出ていない人」のとこをです。インフルエンザやアデノウイルス感染症の場合には考え方ですね。この健康保菌者は15~30%ぐらいいるとされています。

ですので、溶連菌の検査が陽性になっても、もしかしたら原因は別にあるかもしれない場合があるのです。

 

溶連菌感染症の症状は?

ではどんな症状があれば溶連菌を疑うのでしょうか?

代表的な症状は38度以上の急な発熱、ノドの痛みです。3歳未満ではあまり熱はあがらないと言われています。そして1~2日してから体や手足に発疹が出てきたり(猩紅熱)、舌にブツブツが出てきたり(イチゴ舌)します。腹痛や首のリンパが腫れたりすることもあります。

反対に鼻水や咳はあまり出ないのも溶連菌の特長です。

しかし、子どもの場合は元々、鼻水や咳が出ているときに溶連菌のにかかる時も多くありますので注意が必要です。

また、周りに溶連菌の感染者がいれば、もちろん疑わないといけません。潜伏期は2-4日と言われていますので、感染者と接触してからの日数も参考になります。

以上の症状と周囲の状況で、まずは疑います。次にノドの発赤、特に扁桃に白い膿がついていれば、疑いがさらに強くなりますので迅速検査で診断をしましょう。

 

溶連菌の迅速検査

ご存知の人も多いと思いますが、綿棒でノドの菌をこすり取って行います。当院の検査キットなら約5分で検査結果が出る簡単なものです。

Tの所に赤いラインが出れば陽性です(ちなみにCの青いラインは検査がきちんとできていることを意味します)

 

ここでも注意点が実はあります。それは溶連菌の死骸である死菌でも陽性になることがあるのです。また、先ほどの健康保菌者も陽性になります。ということは検査が陽性になっても原因ではないかもしれないということなのです。

ここで重要になってくるのが、症状とノドなどの所見になってきます。やはり疑わしい症状や所見あって、検査が陽性になれば非常に溶連菌感染症である可能性が高くなります。

反対に熱はあるけど、ノドは痛くなかったりノドが赤くなかったりすれば溶連菌が原因ではないかもしれません。

とはいえ検査で陽性になった場合、溶連菌が原因である可能性は十分に考えなければなりませんので、治療を開始いたします。

 

溶連菌の治療は

溶連菌は細菌であるので、抗生物質がよく効く感染症になります。

ペニシリン系の抗生物質を使うことが多く、セフェム系の抗生物質も有効であるとされています。また、ペニシリンンのアレルギーがある人のはマクロライド系の抗生物質を使用します。

割にどんな抗生物質も効果があるということになります。しかし、耐性菌の出現のことを考えると多くの抗生物質を使うことは良くないとされていますので、当院ではアレルギーなどの問題がなければペニシリンを使用しています。

ペニシリンの投与は10日間が推奨されています。少し長めの期間で、この投与期間も様々な意見がありますが、大きな問題がなければ最後まで飲み切りましょう。

ほとんどの場合、飲み始めて1~2日で解熱しますので、治療を開始後24時間経過して解熱していれば通園・通学が可能になります。完全な除菌を目指して、症状が無くなっても最後まで薬は飲みましょう。

しかし、1-2日しても解熱しない場合があります。これはもしかして溶連菌が原因ではないかもしれません。

ですので、当院では3-4日後に一度再診をして効果を認められれば、最後まで飲み切るようにしてもらっています。

 

溶連菌に尿検査は必要???

「溶連菌にかかったら、治った後に尿検査をしましょう」と以前は当院でも尿検査を行っていましたが、最近は行っていません。

元々、尿検査の意味は溶連菌の合併症である急性糸球体腎炎の早期発見が目的でした。

ではどれぐらいの確率で溶連菌後糸球体腎炎が発症するのでしょうか?正確な報告はありませんが、小児人口10万人当たり数人とされています。ようするに現在ではかなり稀な合併症と言えるのです。

また、検査のタイミングも難しいと考えられています。一般的には治癒後2~3週間後に尿検査を行うのですが、残念ながらその後に発症した場合には発見につながらないことになってしまいます。ということは何回も行わなくてはならないのです。

以上のことから尿検査の意義が低くなったとして当院では行っておりません。

しかし、急性糸球体腎炎は低い確率ではありますが合併症になりますので、血尿などの茶色い尿が出ないか、むくんだりして体重が増えたりしないか、などを小児の場合は1か月ほどは注意しておいてください。

 

もう一つの溶連菌感染症に有名な合併症がリウマチ熱です。こちらも年間の発症数が10例以下という非常な稀な状況になっています。ですので、現在はよほどのことがない限り経過観察する状況です。

溶連菌感染症の経過についての説明です。感染後2~4日後に咽頭痛・発熱などの症状で発症します。治療開始後24時間たって症状が改善しておれば、登校・登園可能となります。しかし、完全な除菌を目指すために合計10日間の投薬治療を行います。またその後も合併症である腎炎の発症有無を2~4週間は経過観察します。

溶連菌感染症の経過をまとめてみました。