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「2人に1人」はアレルギー性鼻炎(特に花粉症が増えています)





2020年の花粉症は「スギ・ヒノキ花粉の飛散量が少なかったこと」と「コロナの影響で外出が制限されて、マスクを常用したこと」で楽であった人も多かったのではないでしょうか。しかし、やっぱり花粉症って多くなっている感じがしませんか?

 

この度11年ぶりに行われたアレルギー性鼻炎の疫学調査の結果が日本耳鼻咽喉科学会誌に発表されました。そのイメージ通りであったのでの結果を見てみましょう。

全国の耳鼻咽喉科医およびその家族を対象に行われたアンケートによる調査で、返信された20000人弱を対象として行った疫学調査です。同様の調査が1998年と2008年にも行われていて、その2回と比較しています。

 

まず結果を見る前に、このアンケートを理解するために用語の整理をしておきます。

アレルギー性鼻炎は全体のことを指しており、全体を大きく2つのグループ(通年性アレルギー性鼻炎と花粉症・季節性アレルギー性鼻炎)に分けます。さらに花粉症はスギ花粉症とスギ以外の花粉症(ヒノキなどの樹木やカモガヤ、ブタクサなどの雑草)に分けられてます。

以上をふまえて、読んでみてください。

 

アレルギー性鼻炎は2人に1人

まずはアレルギー性鼻炎全体の有病率についてです。

アレルギー性鼻炎全体の有病率は49.2%で全体の2人に1人という衝撃に結果となりました。3人に1人ちょっとがアレルギー性鼻炎であった2008年と比べて約10%増、20年前と比べると20%も増えています。

通年性アレルギー性鼻炎は20年前と比べて5%ちょっと(18.7%→24.5%)増えてますが、2008年と比べると1.1%の微増です。(もちろん減ってはいません)

では花粉症はどうでしょうか?

花粉症全体では19.6%→29.8%→42.5%と10年ごとの10%ずつ増加しており、スギ花粉症(16.2%→26.5%→38.8%)もスギ以外の花粉症(10.9%→15.4%→25.1%)もどちらも爆発的に増加しています。

 

10歳未満ではスギ花粉症が倍増

年齢別にスギ花粉症の有病率がアレルギー性鼻炎診療ガイドラインで報告がある2008年と1998年と比べてみました。

特に5-9歳は2008年には13.7%だった有病率が2019年には30.1%がスギ花粉症であり、倍以上に増えています。最も多い年代は10歳代で49.5%の有病率でした。クラスの2人に1人はスギ花粉症ということです。

昔は「花粉症は大人だけの病気」ともいわれていました。しかし、最近では花粉症の低年齢化が進んでおり、(子どもには花粉症はない???)明らかに子供の花粉症が多くなってます。花粉症の診断は多く場合、症状と血液検査でされます。大人は症状の確認が簡単であり、血液検査を行うことも難しくはありません。しかし、小児の場合は明らかな症状の確認が難しかったり、血液検査が難しかったりするので、本当はもっと有病率は高いのかも知れません。

一方で高齢の方の花粉症が減っているかというと、60歳以上の高齢の花粉症も増加していて、若い人の病気というわけでもなくて全年齢で増加しています。となると、自然に治ってしまうことに残念ながら期待ができないようです。

スギ以外の花粉症でもスギ花粉症と同じような増加傾向が認められました。スギ以外の花粉の中にはスギ花粉症と合併率が高いヒノキ花粉症が含まれているので納得できる結果と考えています。また、スギやヒノキ花粉症以外の花粉症は花粉-食物アレルギー症候群(口腔アレルギー症候群)といわれている野菜や果物で喉が痒くなるといったアレルギー反応を合併するケースをあり、このタイプのアレルギーも増加しています。(もうひとつの春花粉症 ~ハンノキ花粉症~)

 

通年性アレルギー性鼻炎も4人に1人

アレルギーの大きなもう一つの原因はダニ(ハウスダスト)です。10年前と比べて大きな増加はありませんが、最も多い年代は10代・20代で、3人に1人以上が通年性アレルギー性鼻炎を発症しています。花粉症と合併している人も多く含まれています。以前は10歳未満で最も多いアレルゲンがダニであったのが、花粉症の低年齢化によってスギ花粉の方が多くなっています。ダニアレルギーが減ったわけではないので、ダニアレルギーだけではなくて、花粉症の合併および花粉症単独の人が多くなっていることが考えられます。

 

診断と治療の選択

2人に1人がアレルギー性鼻炎ということになると、どんな人でもアレルギーの可能性はあるのでは? と思っておいた方が良いでしょう。特にサラサラの鼻水やくしゃみがあったり、乾いた咳が出たりすれば、「今まではアレルギーといわれたことがない」、「昔の検査でアレルギーがなかった」というような人でもアレルギーを疑います。また、アレルギーの人が風邪をひくとサラサラの鼻水がネバネバになったり、乾いた咳がたんがらみの咳になったり、して専門家でも診断に迷う場合があります。(「風邪か?アレルギーか?」と「風邪も、アレルギーも」

花粉症かな? アレルギーかな? と思えば、まずは検査による確定検査をしましょう。「どうせ薬を飲むだけだから、検査しても同じ」と思っていませんか?実は検査によってアレルギーの原因が決定すると薬を飲み以外に治療方法の選択肢が変わってきます。

血液検査が苦手なお子さんは注射器を使わない簡易アレルギー検査で調べることもできます。

 

きちっとした診断がされれば、どんな治療法があって、どれの治療法を選ぶ(組み合わせる)か、を相談できるようになります。

アレルギーかなと思えば、きちんと診断をしてもらいましょう。

 

参考文献

1)  松原 篤、坂下 雅文、後藤 穣、他:鼻アレルギーの全国疫学調査2019(1998年、2008年との比較): 速報 ―耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として―. 日耳鼻 2020; 123: 485-490. 2020

2) 鼻アレルギーガイドライン作成委員会: 第2章 疫学. 鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2016年版(改定第8版). ライフサイエンス;2015: 8-13頁.

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