秋はダニ(ハウスダスト)アレルギーにご注意を \(◎o◎)/
目次
少しずつ朝・夜が過ごし安くなり、秋の足音が聞こえ始めて来ましたね。
季節の移り変わりが感じられてきました。そろそろ運動会の練習なども本格的になってきたことと思います。
突然ですが、涼しくなって「朝起きると水鼻やくしゃみ」が出たり、「夜から朝にかけて咳」が出たりしませんか?
それはもしかしたら「かぜ」ではなく、「ダニアレルギー」かもしれません。
季節の変わり目(秋)の咳に注意を
咳が良く出る代表に気管支喘息があります。次の表はどんな時に喘息が出易いかをアンケートしたものです。
喘息を引き起こす誘因として感冒、ほこり、天候などが多く認められます。
でも、喘息と言われたことがないから大丈夫と思っている人も多いのではないでしょうか?
近年では咳喘息という考えが定着してきてます。咳喘息というのは喘息の検査ではあまり異常を認められなく、ヒューヒューとかゼーゼーなどの喘息特有の喘鳴も認めないけど喘息が考えられる病気のことを言います。
簡単に言うと喘息の一歩手前、もしくは喘息の一番軽い状態が咳喘息ということになります。現在では30%ぐらいが本格的な喘息に移行すると言われてます。
基本的に大人は喘息になると完全に治ることがが難しいです。ということは早期診断・早期治療が大切になってきます。
季節の変わり目に咳がよく出るのなら、もしかしたら、「風邪」という言葉の中に「アレルギー・喘息」を含まれているかもしれませんね。
また、小児喘息のタイプの中で最も多いのがアトピー型というタイプです。アトピーとはアレルギーを意味する言葉になります。要するにアレルギーが関連しているタイプの喘息です。
そのなかでヒョウヒダニの影響が最も多いと言われています。
ですので、今までで喘息と言われたことのない人でも秋によく出る咳はアレルギー・喘息に注意が必要になります。
ダニアレルギーを今までに言われた人、疑わしい人はさらに注意が必要です。
では、どうして秋になると起こりやすくなるのでしょうか?
気温が低くなり、乾燥し始めると風邪の原因ウイルスであるライノウイルスやRSウイルスによる感染症が多くなります。
また、マイコプラズマ感染症なども注意が必要になります。マイコプラズマ感染症も風邪と呼ばれていることがあります。
これらは喘息に影響を及ぼすと言われる微生物として有名です。喘息などのアレルギーの状態は元々、気管の粘膜が過敏な状態にあります。
その過敏な粘膜に感染を起こすと、さらに粘膜が傷ついてしまうことによって咳が続きやすくなります。ひどくなると喘息の発作ということになるのです。
もしかしたら、「風邪で咳が続いているのです」というのはアレルギーの影響があるからかもしれません。
ほこり(ハウスダスト)はカビや昆虫、ペットなどを含めた家の中のゴミになりますが、
その中でアレルギーの原因にもっともなるのがヒョウヒダニになります。実はヒョウヒダニが一番多くなるのがこの時期です。
どうして秋に多くなるのかは後に説明をしますので、続きをお読みください。
さらに秋になると朝晩が低くなり気温差も大きくなり、台風などの気圧の影響も多くなります。
これらの気象条件も咳が出やすくなる一つと言われています。
このような時期に運動会の連勝などの運動による影響がさらに加わることによって一年の中でもっとも咳が出やすい時期が始まるのです。
「いつも季節の変わり目になると風邪を引くのです」、「秋になると咳が出やすいのです」
それはもしかしたらダニアレルギーによるものかもしれません。
もちろん、風邪を引かない強い体を作ることは大切なのは言うまでもなありません。
ダニアレルギーの原因は主にヒョウヒダニ
ダニアレルギーの原因になるダニは主にヒョウヒダニといわれる種類になります。
ヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの2種類でどちらもマダニなどとは違って咬むことはありません。
ですので、屋外のダニ対策とは違って、屋内のダニ(ハウスダスト)対策が必要となります。
また、貯蔵ダニと言われるコナダニとは関連があります。
貯蔵ダニ(コナダニ)はキッチンを好んでおり、特に使いかけのお好み焼き粉やパンケーキミックスにいることがあります。
ダニアレルギーの人はそれらと一緒にコナダニを食べてしまうことによってアレルギー症状が出ることがあります。
ただし、しっかりと蓋をして冷蔵庫で保管すれば貯蔵ダニが繁殖することはありません。保存状態に気をつければ大丈夫です。
今回はヒョウヒダニのことをダニとして書いてありますので、そのつもりでお読みください。
「ダニは一年中」じゃあないの?
ではどうしてダニアレルギーが秋に関係があるのでしょうか?
ダニ(ハウスダスト)は確かに1年中ありますが、実は一番多くなる時期が秋なのです。
花粉症でも花粉の多い日には症状があるけれど少ない日にはあまり症状がない方も多くいると思います。
ダニはそれが1年で考えるので、秋から冬には症状が出てくるのですが、春から夏にはあまりひどくない事があります。
そのため「ダニアレルギーを秋の花粉症と勘違いする」ことがよくあるのです。
もちろん、秋の花粉症のこともありますし、ダニアレルギーと秋の花粉症を両方の場合もあります。
ではどうしてダニが秋に多くなるのでしょうか?
ヒョウヒダニが繁殖するのに室温20~30℃、湿度60~80%ぐらいが最適とされています。人の過ごしやすい時期と同じですね。
ということは、エアコンの効いた日本の5~8月はダニにとって最も多くなりやすい時期と言えるのです。
えっ、だったらダニが一番多くなるのは夏でしょう???
実はアレルギーの原因になるのはダニはダニでも死骸やフン【死ダニ】です。空中に舞ったダニの死骸やフン【死ダニ】を吸い込むことによって鼻炎症状や咳などが出てきます。空中に舞いにくい生きたダニ【生ダニ】はアレルギーは起こしにくいのです。
ということは死ダニが一番多くなるのはいつでしょうか?生ダニが多くなる5~8月の後、といことですね。
要するに秋が死ダニが一番多くなる時期なのです。
ではダニアレルギーと秋の花粉症との違いは?
一番に違いは大きさです。
生ダニ 200~500μm、ダニの糞 10~40μm、死ダニのかけら 1~2μm、
スギ花粉 30~40μm、黄砂 4μm、pm2.5 1.2~2.5μm ぐらいの大きさと言われています。
花粉より死ダニのフンや死骸の方が小さいのです。小さいものの方が奥の方まで入りやすいと言われてます。
ですので、咳の原因になりやすいのは花粉よりダニであり、秋の咳はダニアレルギーの可能性を考えなくてはいけません。
ダニアレルギーは鼻炎と気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎のアレルゲン(アレルギーの原因)としてもよく知られてます。
ということは秋に起こるくしゃみ・鼻水・鼻づまりや咳は「かぜではなないかも」と思うことが鼻炎やぜんそくの早期発見につながることになるのです。
ダニアレルギーの診断は?
まずは症状からダニアレルギーを疑うことから始まります。その次に検査を考えましょう。
ダニアレルギーの診断に使われる第一は血液検査です。ヤケヒョウヒダニもしくはコナヒョウヒダニを調べましょう。
ただし、残念ながら血液検査は100%であるわけではありませんので、必ず陽性になるとは限りません。
血液検査で陰性になってもダニアレルギーが疑われる場合はダニのエキスによる皮膚の反応を見る皮膚テスト(プリックテストや皮内テスト)といわれる検査をすることもあります。
一般的は皮膚テストの方が血液検査より陽性になりやすいと考えられてます。
ダニアレルギーを疑う症状があり、アレルギー検査が陽性であれば、ダニアレルギーという診断になります。
ダニアレルギーの治療は?
すべてのアレルギーに共通の治療は抗原の回避です。ですので、まずはダニの回避、すなわち掃除になります。
自宅で最もダニの多くいるのは寝室で、中でも布団や枕などの寝具の中にたくさんいるといわれています。
ただし、ダニは動物や食物とは違って完全に回避することは不可能です。
「完全に無くすことではなく、減らし続けること」を目標にしましょう。
無くすことが出来ないので、以下の治療が必要になる場合があります。
①投薬治療
症状によって、内服薬、吸入薬、軟膏、点鼻薬、点眼薬などなどを使用します。
②レーザー治療
鼻炎に対してのみの治療です。
内服薬などが効果がない場合、妊娠中で薬が使えない場合、薬で眠たくなる場合などに効果的な治療となります。
③アレルゲン免疫療法
鼻炎や気管支ぜんそくに対しての唯一の根治を目的とした治療になります。
現在、5歳から皮下免疫療法と舌下免疫療法の2種類が保険適応になりました。いずれの方法も保険適応になります。
当院ではすべての治療を行っております。
一つの治療を選ぶのではなく、それぞれの治療を相談しながら組み合わせていくオーダーメイドのような治療をしております。
次の治療早見表を参考にしてみてください
この記事を書いた人
わしお耳鼻咽喉科 院長 鷲尾 有司
地域の皆様に少しでも貢献したいという思いを抱き、2011年11月11日に「わしお耳鼻咽喉科」を開院。
アレルギー治療を得意とし、「最新の正しい医療情報を共有して一緒に考える医療の提供」「できるだけ薬に依存しない治療法の提案」「患者様の負担を減らすための各種日帰り手術の提供」をなどを進める。
子どもたちの未来のために、“まちのお医者さん”をめざしています。